Overcoming Limitations



今井 大三 (MBA96)

これは私が17年前にビジネススクールへ提出したアプリケーションにつけたタイトルです。当時33歳、MBAを通じて「自分の限界を超える」、「飛躍する」といった意気込みでこのタイトルをつけたことを思い出します。

現在、私は米国著名投資家の会社が所有する再保険会社の東京支店で企画・営業を担当しています。生命再保険を日本の生命保険会社に提供するBtoBビジネスで、ドイツ本社と緊密に連携しながらマーケットの拡大、支店運営に取り組んでいます。

私は大学では法律を専攻し、生命保険会社に入社。本社にて保険金の支払査定及びシステム設計を含む保険金支払等の仕組み作りを担当しました。ここで7年間の勤務の後、自学していた英語力を認められ東南アジアの行政当局・生命保険業界の幹部および幹部候補生に向けた研修を行う財団に出向しました。2年間の勤務でしたが、そこにやってくる志の高い方々と接するうちに自分がそれまで漠然と描いていた目標が次第に明確になり、同時にその手段としてMBAを目指すことになりました。

生命保険業界は比較的地味で変化は余り多くありません。東南アジア向けの財団に出向するまでは海外との接点はほとんどなく、まして自分が現在のように外国会社で働くことになるとは思っていませんでした。それまでドメスティックな業界にいて、経営について総合的に学んだこともなかったのですが、ミシガン大学ロススクールでの2年間でビジネスに必要なコアスキルを国際的なビジネス環境を前提に、実に効率的に学ぶことができました。ロススクールでの学びが私のキャリアを国内から国際的なものへと転換してくれたのです。


ロススクール

ロススクールのプログラムは実によく組み立てられたものでした。当時GEのアドバイザーとしても名前の知られていた経営組織論教授のノエル・ティッシー(著書"Control Your destiny or someone else will")が全体のプログラムをコーディネートしていたと聞いています。

入学当時とても印象的だったのが、Global Citizenshipと題されたオリエンテーションです。MBAというのはやはり金儲け第一の輩が集まっているのではという若干の偏見を持っていたのですが、このオリエンテーションは、クラス毎に各地に泊りがけで移動し、私のクラスはダウ・ケミカルの社会貢献活動に触れ、ハビタット・ヒューマニティーのボランティア活動に参加し、最後にキャンパスに戻り、自分たちがいかに地域や社会に貢献するかといったことを議論して締めくくるという、実体験を通じて深く考えさせてくれるすばらしい導入プログラムでした。グループワークもふんだんに組み込まれ、チームワークで知られるロススクールのコミュニティーへの入り口でもあったわけです。

クラスが始まってもコアでは多くのプログラムが相互に連携し、ゼネラルマネジメントの意味するところを体現していました。教授陣、プログラム、ロケーション、課外活動等々いろいろな面でバランスの良い学校なのですが、専門家を育てるのではなく、CEO,CFOといった立場の人間に求められる知識・資質を身につけることを目指していました。MAPプログラム(コンサルティングプロジェクト)もコアの仕上げで行われます。クラス配分も講義、ケース、チームワークと大変にバランスが取れていました。私の卒業した年に実施されたビジネスウィークのビジネススクールランキング(Best BSchool)調査では見事全米第2位に輝いています。私が卒業してからもきめ細かなプログラムの見直しがなされていたのも印象的でした。

MBAで学ぶことはマネージメントのためのOSをインストールするようなものです。自助努力による継続的なアップグレードは必要になりますが、その優秀なOSのおかげでMBAは様々な問題への解決ツールをより早く探し出し、また新しく生み出されてくるアプリケーションをすんなりとインストールし活用できるわけです。人的なネットワークもインターネット上でSNSを使うように自在に伸ばしていくことができます。卒業後、数年間に渡り、友人と日本人MBAの学校を超えたリユニオンを主催したのですが、基本となるOSが同じですので、話も早く、また共通の知人がいる可能性が極めて高く、共通の話題も多いため自ずとネットワークが広く強くなります。


私は現在ロススクールの同窓会活動に関わっていますが、Class of 93の有賀さんを会長に大変によくまとまっています。年に4回ほどのイベントがありますが、毎年全世界のロススクール同窓会で同時開催されるWorld Wide Club Dayではこの2年立て続けに世界2位にランクインしています。


キャリア

ロスでは一人で海外のオペレーションを切り盛りできるスキルを身につけることを目指していましたので、ロスのゼネラルマネジメント志向のプログラムは私のニーズに最適でした。ビジネスコミュニケーションからストラテジー、ビジネス統計まで、面白いところでは当時本格的に動き出していたインターネットビジネスのクラスなども受講しました。振り返ってみると、これまでのビジネスで特に参考になったのはファイナンスを学んだことです。身につけておくべき知識を体系的に学べたため、再保険もファイナンス関連ビジネスがありますが、これまで苦労したことはありません。

生命保険会社から再保険会社へと留学後3回転職しています。最初の2回はヘッドハンターの紹介によるものでした。これまでずっと生命保険及び生命再保険に携わっています。最初の2回の転職に際してはロスのMBAはプラスに働いていたと思います。現在は、もう卒業してかなりの期間が経ちますし、MBAの肩書きには何の意味もないでしょう。今後はロスで学んだことから卒業後に自分で切り開いてきた実績や積み上げてきたマネジメントスキルが問われることになるのだと肝に銘じています。


環境

アナーバーは家族で行かれる方には最高の環境です。私は、家内と3歳の娘、生まれたばかりの長男の4人家族で初めてのアメリカ生活でした。全てがはじめてではありましたが、大学の提供するファミリーハウジングという家族向けの施設にくらしていました。ミシガン大学はロースクールをはじめ評価の高いグラデュエートスクールが多く、周りは世界中からやってきた大学関係者とその家族でしたが、日本人も多く、平日はご近所さんと出かけたり、BBQしたりと楽しいお付き合いをさせてもらいました。日本に帰国して10年以上経った今も家族ぐるみの交際が続いています。

娘の通っていたプレスクール・キンダーガーデンは、やはりミシガン大学学生や関係者の子供が通っており、ビジネススクール同様かなり国際的な環境でした。その先生方・設備・その楽しそうなクラスの様子など、理想的なものだったと思います。娘は今大学2年生になりましたが、本人の希望で高校2年の時にカナダに1年間留学しています。学校以外にもアートや音楽など文化的なものに接する機会も多く、大学のコンサートホールでは定期的にコンサートが催され、当時小沢征二も聴きにいきました。家の周りの自然も豊かで、リスも多かったのですが、夏には自宅の前に無数の蛍が飛んでいたほどです。休みには家族で旅行にも行きましたので様々な思い出の残るアナーバーは家族にとって特別な場所です。


最後に

ロススクールを通じて私は当時の"Limitations"を砕き、その都度より困難になった新たな"Limitations"に取り組んできています。また、卒業して15年以上経ちますが、その間も同窓会活動やインタビュー等々、ずっとロスのコミュニティーの一員としてすばらしいRoss Experiencesが継続しています。拙文を読んでくださった皆さんといつかお会いできる日を楽しみにしています。

以上

 

NB Fellowship (New!)

Full-time MBAに私費で留学する日本人向けに、当校OBが奨学金制度を設立しました。

 

詳細はこちらをご覧ください。

Sponsors

株式会社アゴス・ジャパン様
株式会社アゴス・ジャパン様
江戸義塾様
江戸義塾様
アンテロープキャリアコンサルティング株式会社様
アンテロープキャリアコンサルティング株式会社様