Learn about the Force, Luke

 


伊東 森人

スターウォーズは、僕の大好きな映画です。
スターウォーズで描かれるフォース(the Force)とは、銀河系のあらゆる物質や生命を結びつけて、均衡を維持しながら、宇宙全体を動かしている原動力(Driving Force)のことです。映画の冒頭で、若きルークスカイウォーカーは、老練なオビワンケノービに向かって、自らの決意を伝えます。

I want to learn the ways of the Force and become a Jedi.
僕はフォースの使い方を学んで、ジェダイ(フォースを極めた者)になりたいんだ」

そして、ルークとオビワンは、銀河宇宙で繰り広げられる波乱万丈の大冒険へ旅立ちます。

さて、ビジネスの世界では、まさに「マネジメント」が、人・財・情報などの経営資源を結びつけて、企業を組成し、その企業を動かす、原動力(フォース)ではないでしょうか。そして、ゼネラルマネジメントの力(フォース)を鍛錬し、ビジネスの世界で繰り広げられる、壮大なアドベンチャーへ飛び立つために、準備を整える場所が、ミシガン・ロスビジネススクールなのだと思います。

I want learn the ways of the Management at the Ross and become a General Manager.
「ロスでマネジメントの使い方を学んで、ゼネラルマネジャーになりたいんだ」

ロスビジネススクールの価値をお伝えするために、僕が経験した入学までの道程、ミシガンでのフォース修行、そして卒業後のささやかな冒険について紹介させてください。

プロローグ

僕の生まれた1960年代は、高度経済成長の真っ只中で、アポロの月面着陸、カラーテレビの登場など、世界が目まぐるしく変化し、新しい社会の到来を感じさせる輝いた時代でした。そんな未来志向の雰囲気の中、渋谷の東急文化会館で、僕は、映画「恐竜100万年」と出会いました。大スクリーンで暴れまわるプテラノドンやトリケラトプス。レイハリーハウゼンによる特撮は、僕を空想科学(SF)映画の虜にしました。それ以来、猿の惑星、2001年宇宙の旅、ウエストワールドなど、毎週のように映画館へ通いました。小学校に入り、学芸会の演劇で脚本と監督を担当するようになり、高校へ上がって、遂に念願の映画を撮ることができました。もちろん、宇宙の彼方から飛来した未確認飛行物体による地球侵略と、世界を守る勇敢な人々を描いた、感動的なSF映画です。

この頃、映画の仮想現実にちょっと満足し、現実世界に戻って、大学の学部選びを始めました。自分がどのように社会へ飛び込んで行くのかという課題と向き合うことになりました。手掛かりを探るために、フリードマンの選択の自由、ガルブレイスの不確実性の時代、トフラーの第三の波などを読みました。おぼろげながら見えてきたことは、国境が低くなり、世界はグローバル化に向かっていて、経済の中心は工業から情報へ移り、政府よりも産業の役割が強まり、「マネジメント」の知識の重要性が高まってくる、というような事でした。

そこで大学は、市場原理に基づいた新自由主義の経済学を学ぶことのできる、慶應義塾大学経済学部へ入学しました。また在学中に、世界を実感するために、アメリカ、ソ連、ヨーロッパ、北アフリカを放浪しました。学生の立場で見えることには限界がありましたが、書物で感じたパラダイムシフトのダイナミズムを、少し確かめることができたような気がします。

大学を卒業して最初に、石油産業へ飛び込みました。石油産業は、20世紀に入り、生産から流通までグローバルに結びつき、エネルギーからプラスチックなどの素材まで広がる、経済の基盤を作っていました。

とはいえ、グローバル経済からは程遠い地方都市にある、赤字子会社の収益改善計画を作るのが、入社したコスモ石油での僕の最初の仕事でした。ぶっきら棒な上司から、段ボール箱にいっぱいの過去の財務諸表や書類を渡され、3年分の事業計画を作って黒字にするのが、お前の仕事だ、と伝えられました。最初は任せて、後で教える、という教育方針で、厳しくも温かい、懐の深い会社でした。それからは、休日返上で、会計、人事、販売などの日経文庫を読みながら、財務諸表と格闘しました。さらに会社の先輩や経理部門の専門家の知恵を借りて、何とか事業計画を形にしました。しかしながら、数値目標を実現するための具体的な実行内容が描けません。書店で役立ちそうなものを探して、ポーター、コトラーなどの本を見つけました。ビジネススクールの定番テキストです。これらの内容を活用して具体的なプロセスを作ることができました。その後、子会社の従業員や役員の方々と協力して、この事業計画を実行へ移しました。徐々に成果が表れ、数年後に黒字へ転換しました。

この経験を通じて、現実のビジネスにおけるマネジメントスキルの重要性と、その可能性を実感しました。同時に、MBAプログラムで、このような手法を体系的に学ぶことができることを知って、ビジネススクールへの入学を決意しました。そして初めてTOEFLを受験しました。スコアは300に届かず、絶望的でした。合格するまでのスコアメイキングは前途遼遠たる過酷な試練となりました。一方、オイルマンとしても、国内営業から海外営業へ移り、ベトナム、インドネシア、モンゴル、パキスタンといった新たな舞台で、フォースの武者修行を続けました。

ゼネラルマネジメントの修行

1996年7月、夏の日、僕はデトロイト空港へ降り立ちました。そこから車で1時間ほど走ると、郊外の美しいユニバーシティタウン、アナーバーへ着きます。アナーバーは、緑豊かな自然に溢れる街で、至る所に小川が流れ、小さな湖や池が点在しています。しばしば、リス、ウサギ、アライグマ、シカ、スカンクなどの小動物たちが目の前を横切ります。この時期には、アートフェアが開催されていて、全米から集まった芸術家が、数百のテントショップで絵画を販売したり、街中で音楽やパントマイムのパフォーマンスを演じていました。

このアナーバーに在るMBAプログラムが、ゼネラルマネジメントの教育機関として最高峰のミシガン・ロスビジネススクールです。ゼネラルマネジメントとは、ビジネスにおける全ての機能を統合して経営を行う技術です。ゼネラルマネジャーは、アカウンティングに特化したCPAや、ファイナンスあるいはマーケティングに専門化したプロフェッショナルと対極をなします。ゼネラルマネジメントは、広く浅い知識であると誤解されることがありますが、むしろゼネラルマネジャーは、全ての分野を深く理解しなければなりません。ゼネラルマネジャーは、総合的な意思決定を行い、企業におけるあらゆる機能を組織化して実行し、社会全体に貢献できるような成果を上げる責任を担うのです。

ロスビジネススクールは、このゼネラルマネジメントを2年という短期間で確実に修得させるために、3つの教育メソッドを組み合わせた世界で唯一のMBAプログラムです。3つのメソッドとは、レクチャー、ケーススタディ、アクションベースラーニングです。

レクチャーを通じて、学生は、ビジネスの事象を理解して課題を明確に定義するのに必要な「知識」を学びます。さらに、学生は、ケーススタディで、複雑な現実社会で状況分析を行い、方針を決める「意思決定の技術」を体得します。そして、アクションベースラーニングを通じて、実際のプロジェクトへ参加し、目の前にある人・財・情報を組織化して、意思決定を実現するための「実行の技術」を学びます。

レクチャー、ケーススタディ、アクションベースラーニングの3つのメソッドは、2年間のカリキュラムを通じて様々な形で繰り返されます。アクションベースラーニングが加わることで、他のビジネススクールに比べて、時間的な負荷が高くなりますが、学生は、3つのメソッドで学ぶことにより、ゼネラルマネジメントの力を加速度的に高めることができます。成長のスピードは格段に違います。入学前と卒業時の能力差が大きいことが、世界でトップのゼネラルマネジメントスクールと評価されている理由のひとつです。

また、ロスは、チームワークについて、最も真摯に取り組んでいるスクールです。組織論に強いことが起因しているのでしょう。入学時のオリエンテーションでチームワークの定義を学びます。チームワークとは、ただ仲良くすることではない。ゴールを設定し、役割を分担し、プロセスを管理し、メンバー間の衝突をコントロールして、目標を達成するのが、真のチームワークだ。チームワークという漠然としたコンセプトを、ゼネラルマネジメントのひとつとして理解するまで、2年間で徹底的に特訓されます。

冒険へ飛び立とう

21世紀を迎えました。イデオロギーは終焉し、歴史が終わり、国境を超えて世界はますますグローバル化へ向かっています。政府に代わり産業の役割が高まり、情報化が進み、見えない大陸では、知識が経済の中心となりました。さらに社会はフラット化し、新興国のBOPが、新たな市場として姿を現してきました。

この変化するビジネスの宇宙で、僕はロスで体得したマネジメントのフォースを使ってみたくなりました。もちろん、営利主義に溺れ、フォースのダークサイドへ堕ちてはいけませんが。

アニル・カーナニ教授は、ロスの人気教授です。僕は、彼の戦略論に夢中になり、コアと選択の両方で採りました。カーナニ教授は、頭脳明晰で際立った知性を持っています。ケーススタディを自在に操りながら、学生の浅い意見を簡単に論破し、本質は何かを問いかけ、僕達を、深遠なる戦略の原理へと導きます。しばしば、カーナニ教授は、ダースベイダーのように、コールドコールで学生を地獄へ叩き落とします。「スターバックスはなぜ急成長したのだろうか。」「高品質の原料を確保して、美味しいコーヒーを提供したからです。」「なるほど。ところでこのクラスで、コーヒーの味の違いが判る学生が何人いると思うかね。」「・・・」

カーナニ教授の戦略論でベインのケースを扱いました。コンサルティングによる「結果」に徹底的にこだわるユニークなファームです。僕はゼネラルマネジメントのフォースを鍛えるために、卒業後、結果主義を貫くこのファームへ飛び込みました。同僚は、多くがMBAホルダーで、フォースの達人でした。パートナーは短期間で結果へ結びつける卓越した技術を持っており、さしずめマネジメントのジェダイマスターという感じです。僕は数十社の企業のコンサルティングプロジェクトへ参加し、ゼネラルマネジメントの鍛錬を積み重ねました。

やがて、オーナーシップを持ってビジネスへ取り組みたい気持ちが高まり、せっかくなら自分の好きなことを生業とする世界へ進みたいと考えて、映画産業へ飛び込みました。松竹は1901年に初めて映画を劇場で上映し、1920年に映画製作を開始した企業です。映画の歴史そのものを蓄積した暗黙知の資産は計り知れないバリューがあります。

映画産業は、ビジネスの側面から捉えると、PE、ベンチャーキャピタルと同じです。資金を集め、複数の作品プロジェクトへ投資して、ポートフォリオを組み、投資先の価値を高めて、IRRを上げていきます。シード(企画書)からエグジット(劇場公開)まで、およそ2~3年です。シリーズ作品のように成熟して安定したキャッシュを生む映画もありますが、アーティストやクリエイターの創造性で決まる不確実性の高いプロジェクトもあります。

PEであれば、対象企業の構造を規定するのはビジネスモデルですが、映画の構造を決めるのはストーリーです。例えば、勤勉は大切である、と言われても実感がわきません。ところが、アリとキリギリスの寓話を思い出すと、ちょっと反省させられるところがあります。これが「ストーリー」の力です。ケーススタディにも同じ効果があります。シナジーを過大評価するとM&Aは失敗する、と教科書で読むよりも、外国企業を高額で買収して失敗した経営者のストーリーの方が、教訓として身に付きます。人類は、地上に出現してから、道徳や社会的な規範を広めるために、神話や伝説というストーリーを作り出しました。それは、演劇、小説などの芸術へ進化し、映画もストーリーの力を受け継いでいます。

ビジネススクール、コンサルティングファーム、映画会社など、知識創造産業では共通して、ストーリーの技術が重要になります。ストーリーは、状況の設定、問題の発生、疑問の提起、解決、という一連の構造です。ストーリーはこの構造でメッセージを人の心に刻み込みます。コンサルタントは、バーバラ・ミントのPyramid Principleで、状況・複雑化・疑問・答えから成るストーリー構造を体得します。状況:電気自動車の売上が急成長し、中国で新たな工場を建設することを決定した。複雑化:ところが、韓国企業が販売を拡大して、自社の成長が鈍化した。疑問:中国工場の建設を中止すべきだろうか。そして、コンサルタントは解決策を提案します。映画のストーリーラインにも、シド・フィールドのThree Act Structureという定番テキストがあります。問題が大きく、疑問が強まるほど、メッセージは説得力を増します。

少年と少女が出会い、恋をして、結婚を約束します。ところが、少女はなんと宇宙人でした。さて、二人は結婚するのでしょうか。もちろん結婚します。愛の力(フォース)は、必ず全てを超越するのですから。

エピローグ

世界は自由で、誰でも夢を持つことができます。起業したい。大企業を経営したい。宇宙船のキャプテンになりたい。アメリカ大統領になりたい。途上国の子供たちへ教育の機会をつくりたい。地上から戦争をなくしたい。ロスで学ぶ「ゼネラルマネジメント」は、企業、教育機関、政府、NPO、国際機関など、あらゆる組織を動かす力(フォース)になります。国家や国際社会を動かすことができるかもしれません。

皆さんも、キャリアの選択肢を無限に広げ、壮大なる大冒険へ飛び出し、自分の運命を切り拓くために、ロスビジネススクールで、ゼネラルマネジメントの力(フォース)を手に入れてください。

スターウォーズで有名なセリフがあります。 May the Force be with you

最後に皆さんへのメッセージです。 May the General Management be with you

ゼネラルマネジメントの力があなたとともにありますように!

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