「留学を志す方々へのメッセージ」



安川 昌昭


はじめに

ミシガンロススクールを目指されている皆さん、はじめまして。私はMBA93の安川と申します。私がミシガンを卒業し早17年になります。私がミシガン卒業後歩んで来た道はいわゆる3σから外れているかもしれません。でも、今でも人一倍ミシガンロススクールを愛し、ミシガンで学んだ事を誇りに思っています。もしタイムマシンで昔に戻られるとしたら、何の躊躇も無く、ミシガン時代に戻りたい、と言うでしょう。ミシガンを卒業してこんな道を歩んでいる卒業生の言葉が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。


なぜMBA,なぜミシガン?

私は1983年に大学に大学(工学部)を卒業し、長野県の精密機器、IT関連会社の本社研究開発本部に就職しました。そこでは磁気記録装置の開発を担当し、85年に製品の量産化に目処が立ち、本格的な事業化の段階に入りました。私は事業化と同時に、主要市場であった米国ロスの販売会社に赴任し、それから4年間現地セールスマンに同行して大手IT会社への営業の最前線を経験しました。
この、研究開発本部という会社の川上部門と、海外販売法人という川下部門の経験が私をMBAに駆り立てました。それは、次のような疑問が出てきたのです。
1. 開発部門、事業部、販売部門はなぜ新規事業で連携したがらないのか?
2. 新商品、新規コンセプト商品のマーケティングってどうやるの?
3. 新規事業計画に必要な事項は何があるのか?
4. 新規商品、新規事業立ち上げってプロセスはどうあるべきか?
5. 会社にとって新規事業の重要性は?

工学部出身である私は、ビジネス知識はゼロです。そこで、一度「ビジネス」なるものを系統立てて学んでみたい。そして技術的な視点とビジネス的な視点を組み合わせて、もっと効率的な新規事業立ち上げの仕組みを作り、そして自ら新規事業をもっと立ち上げてみたいと考えました。
ではなぜミシガンを選んだのか。それは、ミシガン大学の評判、レベルが高いという事もありましたが、私が一番魅力を感じたのは、オールラウンドに秀でた唯一の学校であること、個人プレーヤの育成ではなく、チームワークと現場を重視した「地に足の着いたリーダーシップ」の育成を目指している、と感じたからです。自動車産業が近い事もあり、「製造業のビジネス」に造詣が深い事もミシガンを選んだ大きな理由です。


ミシガンでの生活、授業

ミシガン大学のキャンプパスは一言で言えば、とにかく広い!そして大学の建物がアンナーバーという町と融合し何とも言えないアカデミックな雰囲気を醸し出しています。ミシガンの授業は決して楽ではありません。常に自分の考え方を持って発言することが求められます。先生の求めているのは正解ではなく、その結論に至った過程なのです。当然ビジネスには唯一の解などありません。重要なのは、限られたデータに自分の推定や知識を総動員して、自分の考えを適宜まとめていく力です。

また、授業が終わっても息抜きは出来ません。毎日多くの宿題、レポート提出、事前準備など目の回るようなワークロードが課せられます。私は今でも「やばい、この宿題の提出は明日だ!」と焦っている夢を見ます。しかしほとんどの場合、宿題やレポート作成はグループで行ないます。ここでチームワークが如何に大切かを思い知らさます。しかもそのチームは多国籍軍。国が違えば考え方も違う、そんなメンバーとどうチームワークを作り上げていくか、この経験は卒業後非常に役に立っています。


家族

現在MBAを目指されておられる方で、ご家族特に小さなお子さんがいらっしゃる方も多いかと思います。ミシガン大学には家族の方々向け各種サービス、施設も充実しています。またいろいろな国々の方々と知り合いになる機会も多いのでご家族の方にも2年間有益に過すことができます。しかし授業のある間は週末も含め、だんな様が家族の為に使える時間は本当に限られています。今思うとミシガンで一番苦労をかけたのは嫁さんや小さな子供たちだったと思います。私が無事にMBAを取得できたのも家族のおかげと今でも心から感謝しています。是非皆さんも、勉学に励む一方、家族への感謝の心と、せめて月に一度でも週末や夏休みには家族サービスを忘れないでください。


卒業後

93年卒業後、社費留学だった事もあり、もとの会社に復職し、開発研究本部企画部門で本格的に新規事業立ち上げの仕組み作りを開始しました。そして、今までのHW箱売りから顧客が抱える経営課題を解決するソリューション事業の立ち上げを日本、米国、そして香港で行いました。その時は、企業戦略の大家であるCKプラハラッド先生の授業で学んだコアコンピタンスの概念、そして未来を描く能力の重要性が非常に役立ちました。

2007年にその会社を退社しました。それはその会社が嫌いになった訳ではありません。会社という枠を超えて新規事業を立ち上げて見たかったのです。そして会社という肩書きが無いところで自分がどれだけ通用するか試して見なかったのです。幸いNYSE上場の香港系中堅EMS会社からCEOという役職をオファーされました。この会社は過去成長を続けてきましたがここ数年成長が鈍り、事業の見直しの必要に迫られていました。CEOに就任してまずやったことは、過去にこの会社のお客様だった(過去形)を訪問し、なぜこの会社との取引を止めてしまったのか、その理由を聞き出すことでした。そして、その原因がお客様との信頼関係が構築できていない事であるとわかりました。EMS会社の使命は、お客様から注文を受けた製品を、コストと品質を守って製造し、決められた納期に確実に納品することです。しかしこの会社の創業者は短期的な利益追求を優先し、お客様との信頼関係を後回しにしてきたのです。次に、社内のマネージメント層に「顧客優先、顧客の満足度向上」の意識改革を行い、お客様の信頼回復に努力しました。お客様の信頼回復には、時にはMBAで学んだ知識や理論は通用しない事もありました。お客様の不合理な要求にも応えなければいけません。そこで論理的に議論して議論に勝っても意味は無いのです。時にはMBAという「資産」を何かで包んで見えなくする事も重要なんだと感じた次第です。


結局、お客様に対する姿勢で創業者と意見が合わず、1年後にCFOと一緒に退任し日本に戻りました。でもうれしいもので、香港時代の友人(友人といっても一回り年上の香港系カナダ人ですが)から、彼の会社の日本代表をやってくれないかと話があり、自宅をベースに日本の顧客や投資家の窓口業務を行ってきました。この会社の事業の一つは、中国石化公社子会社との合弁で中国南部の貴州、雲南省でヤトロファという木を使ったバイオジーゼル精製の一貫事業があります。この事業は香港時代の人脈ネットワークを活かして自分が仕掛けたプロジェクトで、この時はミシガン大学で学んだ事が全ての面で役に立ちました。各種分析、業界動向、将来の需要予測、オペレーション計画、マネージメント・HR計画、採算計画、投資計画など、あらゆる分野の知識を総動員でした。中国にもミシガン大学MBA取得者が沢山おり、ミシガンのグローバルな卒業生ネットワークに感服しました。

今年の71日からスエーデンのIT企業であるアノト社と日立マクセルの合弁会社であるアノトマクセルKKwww.anoto.co.jp)副社長に就任しました。アノト会社まだ会社の規模も小さいのですが。私がこの会社の技術(ドットパターンを使ったデジタルペン技術)を見た時、久しぶりに「この技術は新しい何かを描けそうだ。是非自分で未来を描いて実現してみたい」という気持ちになりました。もう一度ミシガンで学んだ事が活かせる機会を頂いた事は本当に幸せな事です。


最後に

皆さん、今のリーダーに一番大切なことは何でしょうか?私は「実現したい未来を描く力、その未来をみんなと共有するコミュニケーション力、そしてその未来の実現の為に皆の能力を最大限発揮できる環境、道筋を作り上げる力」だと思います。いくら優秀なリーダーでも一人では実現できる事は限られています。社内、社外を巻き込み、そして自ら率先して現場で汗を流す、「創造と挑戦」の精神を持ったリーダーが求められます。ミシガンを目指す皆さんは単なる経営の知識の習得だけではなく、本当のリーダーとしての資質をミシガンで養っていただきたいと思います。私は、ミシガンロススクールはそのような真のリーダーを育成できる数少ないビジネススクールであると確信しています。

以上

 

NB Fellowship (New!)

Full-time MBAに私費で留学する日本人向けに、当校OBが奨学金制度を設立しました。

 

詳細はこちらをご覧ください。

Sponsors

株式会社アゴス・ジャパン様
株式会社アゴス・ジャパン様
江戸義塾様
江戸義塾様
アンテロープキャリアコンサルティング株式会社様
アンテロープキャリアコンサルティング株式会社様