「自分と社会の未来づくりに向けて」



高橋俊之 (MBA92)

92年卒の高橋俊之です。気がつくと留学のため日本を離れた時から20年です。しかし、ついこの間のような感じもします。それだけvividなかつ今とつながる体験だったのでしょう。


ベンチャー出身者にとってはインターハイ

私は大半のMBA留学生とは違い、留学前はベンチャー企業で働いていました。株式公開直後のベンチャー企業でしたが、今イメージされるような華やかなものではなく、ちょっと勢いのある中小企業です。しかし新人の頃から責任を任されたり、これまで会社になかったものをつくらせてもらったりと楽しく仕事をしていました。その半面、独学・我流なので、それが正しいのか「ベスト・プラクティス」に照らして確かめてみたいと留学を考えました。私費で行くつもりでしたが、合格してから会社で話したところ、幸運なことにいろいろな方が動いてくださって留学制度が出来、会社からの派遣となりました。

一方、MBAに行くのは、いわばインターハイに出るのと似た意味もありました。無名の学校の選手であってもインターハイの予選には出られますし、本大会でよい成績を収めれば評価・注目されます。私の場合も95年に転職した際、最後は5社からオファーをいただくことが出来ました。しかしミシガンのMBAというブランドがなければ、同じ実績を持っていたとしても、もっと転職活動に苦労していたでしょう。

なお、上記のようにわざわざ制度を作っていただいたにもかかわらず会社を辞めるのは、残念な決断でした。当時、会社はベンチャーがぶつかる壁にぶつかっていて変革を必要としていました。自分もそのためにいろいろ動いたのですが、当時の自分のポジションではこれ以上どうしようもないと思ったとき、外に出ることを決めました。その後、グロービス(当時はまだ設立3年でした)に入社、マネジメントスクールの責任者や執行役員など6年ほど楽しく仕事をした後で独立しました。現在は自分で立ち上げたSCHOOL OF 未来図というパーソナルビジョンづくりと実現のための学校の代表を務めています。


たかが基礎、されど基礎

自分の時を振り返ってMBAでぜひやっておかれるとよいと思うことは三つあります。一つ目は基礎知識を本質まで押さえること。基礎とは「やさしいこと」ではなく、「エッセンス」(本質)です。本質は陳腐化しませんし、革新は本質を押さえることで起きます。たとえば私が卒業してしばらく後に起きたインターネットによる革新の多くは、単にリアルとバーチャルの話だけでなく、ITがスケールメリットの前提と、従量制の前提をあちこちでぶちこわしてしまうことで起きました。これは本質を理解していない人には訳の分からない状況である一方で、分かっている人には大きなチャンスをもたらしました。私自身も「MBAで学んだことは使えない」と言われた時代でしたが、基礎の部分は非常に役に立ちましたし、今も役に立っています。

二つ目は人と関わる中で学ぶことです。中学校以降の学校生活を振り返っても、ビジネスで(プライベートでも?)役立っているのは教室での勉強より部活等では? MBAでは複数文化の環境、しかも外国語を使わなければなりませんが、グループプロジェクトなどを「うまくやって」効率的に切り抜けてしまおうとせず、工夫はしつつもガチンコでぶつかっていくと、得るものは非常に大きくなります。この点で一つ目のポイントと合わせて印象に残っているのは、Strategic Marketingのクラスで行ったチーム対抗のビジネスゲームです。どのチームも所与のコストと価格を基準にビジネスプランを組み立てていたのですが、経済学の発想から、桁違いの大量生産をすればコストが大きく下がることに気がつきました。

そこでチームに大幅増産とコストダウンのためのR&D、そして価格の大幅ダウンを提案しました。最初は信じられないという顔をしていたメンバーも一人ずつ納得して、「これはおもしろそうだ」という顔に変わりました。我々のやろうとしていることを理解した他チームが追随したために市場はものすごいことになったのですが、これまたよい学びになりました。教授にも「こんなことをやったチームはかつてない」と言われ、その後の彼とのやりとりにもつながりました。

三つ目は人の営みを見ることです。クラス期間中はかなり忙しいでしょうが、休みの期間はけっこうあります。アメリカ以外の地域を訪れることも含めて、この機会に人の営みを積極的に見てみるとよいと思います。私自身はそのことに気がついていなかったため、留学時代はあまりやらなかったのですが、911をきっかけに欧米以外の世界を見る必要性を感じ、2002年に約4ヶ月かけて、エチオピア、南アフリカ、フィリピン、ブラジル、トルコ、クウェートに足を伸ばしました。ここで現地の生活を見てきたことが自分の視点を作る上で今、大きく役に立っています。

なおミシガンのよいところは、こういった長期的な考え方を実行に移しやすいことだと思います。極度に競争的・短期志向ではないので支障が起きる危険性は低いですし、クラスメートや先生がその意義を理解してくれる可能性も高いと思います。


ビジネスを超えて

最後に皆さんにぜひ考えていただきたいのは、自分が社会に対してどう価値を生み出していくのかということです。一企業の成功のためだけでなく、社会全体、地球全体の維持のために自分がどう動くかを考えて欲しいと思います。ミシガンのMBAに行かれるような皆さんはこれから20年、30年とビジネス界で活躍することで社会に大きなインパクトをもたらすでしょう。問題はそれがプラスなのかマイナスなのか(金儲けには成功しても)。ビジネスは手段に過ぎませんが、基本的ニーズが満たされていない分野の問題解決にビジネスの知見は大きく役立つはずです。志を持った優秀な人たちが増えれば。

私自身はそんなことを考えながら、最初の転職で5つの選択肢の中からグロービスを選びました。当時は経営をサイエンスとして学べる場、特にアフター5に学べる場は日本にほとんどなかったから、そしてグロービスに私のようなベンチャー経験者はいなかったからです。そしてある程度自分の役割を果たせたと思った6年後、独立しました。しばらく自分がどこで一番付加価値を出せるか、探っていたのですが、そのうちSCHOOL OF 未来図という、自分と社会の未来を作り上げて行こうという人たちのための場を立ち上げました。まだまだやりたいことが山ほどあるのですが、今もやっていることの意義は強く感じています。皆さんが実り多い留学生活を送られ、自分だからこそやれることに取り組まれることを願っています。

以上

 

NB Fellowship (New!)

Full-time MBAに私費で留学する日本人向けに、当校OBが奨学金制度を設立しました。

 

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